2006年05月30日
矯正治療を始めるタイミングとなおすのにかかる時間
矯正治療の開始時期は、歯並びの状態だけではきめられません。骨格の問題や、習癖の有無、気道の状態、年齢、性別、成長の有無、歯と歯周組織および全身の健康状態、本人とその家族のやる気と理解などによって異なりますので、一概に「早ければ早いほどよい」「永久歯になってからでよい」などと、片づけることはできません。
治療の方法は、始める時期によって、早期治療と永久歯治療の二つに分けることができます。
治療に必要な期間は、永久歯治療で平均二、三年、通院は月一回ほどです。一方、乳歯列や混合歯列の時期(六歳から十歳くらい)にはじめる早期治療では、放っておけない悪い状況があったら、なおしておいて、永久歯がそろいやすい環境をつくったり、永久歯の治療を始める準備をととのえるために、第一期治療を一、二年行い、その後、永久歯交換後に第二期治療を1年半から二年くらい行うというのがふつうです。
骨格に問題のある反対咬合(こうごう)は、もっとも時間のかかるケースといえます。たとえば、早期治療で前歯をなおしても、思春期成長にはいってから。下顎が伸びてくることがよくあります。その場合、成長が終わってから最後の仕上げをするのですが、初診から完了まで、何もせずに定期観察を行う期間を含むと、十年以上通院することも珍しいことではありません。もっとも、口の中にブレースがはいっていない大半の時期には、数ヶ月に一回の通院ですので、ものすごくたいへんというわけではありません。
「どうせ後からブレースを付けるなら、早期治療しなくてもよいではありませんか」という質問を受けることがありますが、それは正しいとはいえません。まず、なおせる範囲でなおしておいて、成長のピークを待つようにしなければいけません。放っておけば、環境が症状を悪化させて、骨格の変形が進み、歯並びだけでなく、顔だちの改善はだんだん難しくなってしまうことがあるからです。また、永久歯治療での抜歯を回避するためにも必要な場合があります。もっとも、診断の結果、最初から抜歯治療が必要とされる場合は、永久歯交換を待って開始するのがよいタイミングといえるでしょう。いずれにしろ、子供の場合は、全部の永久歯が生え変わる前の、7歳から10歳くらいには専門的な診断を受けるのがよいと思います。
しかし、成人だからといって、けっしてあきらめる必要はありません。日本でも、親子そろって治療を受けるとか、いろいろな職業の社会人、大学生の患者さんがふえ、都会の診療室では、恐らく三割くらいを占めるようになっていると考えられます。また、近年の歯周治療、歯の保存治療、インプラントを含む歯の補綴治療などの発達によって、矯正歯科と他科との協同治療を行えば、ほとんどの場合、何歳になっても、成人矯正は可能です。むしろ、高齢化社会を迎えて、自分たちが子供のころには治療の恩恵を受けられなかった中高年の患者さんこそ、これからの人生のQOLを高め、より美しく健康であるために、大いに矯正治療にチャレンジしてもらいたいものです。
次回は治療に伴うリスクや限界についての話です。
治療の方法は、始める時期によって、早期治療と永久歯治療の二つに分けることができます。
治療に必要な期間は、永久歯治療で平均二、三年、通院は月一回ほどです。一方、乳歯列や混合歯列の時期(六歳から十歳くらい)にはじめる早期治療では、放っておけない悪い状況があったら、なおしておいて、永久歯がそろいやすい環境をつくったり、永久歯の治療を始める準備をととのえるために、第一期治療を一、二年行い、その後、永久歯交換後に第二期治療を1年半から二年くらい行うというのがふつうです。
骨格に問題のある反対咬合(こうごう)は、もっとも時間のかかるケースといえます。たとえば、早期治療で前歯をなおしても、思春期成長にはいってから。下顎が伸びてくることがよくあります。その場合、成長が終わってから最後の仕上げをするのですが、初診から完了まで、何もせずに定期観察を行う期間を含むと、十年以上通院することも珍しいことではありません。もっとも、口の中にブレースがはいっていない大半の時期には、数ヶ月に一回の通院ですので、ものすごくたいへんというわけではありません。
「どうせ後からブレースを付けるなら、早期治療しなくてもよいではありませんか」という質問を受けることがありますが、それは正しいとはいえません。まず、なおせる範囲でなおしておいて、成長のピークを待つようにしなければいけません。放っておけば、環境が症状を悪化させて、骨格の変形が進み、歯並びだけでなく、顔だちの改善はだんだん難しくなってしまうことがあるからです。また、永久歯治療での抜歯を回避するためにも必要な場合があります。もっとも、診断の結果、最初から抜歯治療が必要とされる場合は、永久歯交換を待って開始するのがよいタイミングといえるでしょう。いずれにしろ、子供の場合は、全部の永久歯が生え変わる前の、7歳から10歳くらいには専門的な診断を受けるのがよいと思います。
しかし、成人だからといって、けっしてあきらめる必要はありません。日本でも、親子そろって治療を受けるとか、いろいろな職業の社会人、大学生の患者さんがふえ、都会の診療室では、恐らく三割くらいを占めるようになっていると考えられます。また、近年の歯周治療、歯の保存治療、インプラントを含む歯の補綴治療などの発達によって、矯正歯科と他科との協同治療を行えば、ほとんどの場合、何歳になっても、成人矯正は可能です。むしろ、高齢化社会を迎えて、自分たちが子供のころには治療の恩恵を受けられなかった中高年の患者さんこそ、これからの人生のQOLを高め、より美しく健康であるために、大いに矯正治療にチャレンジしてもらいたいものです。
次回は治療に伴うリスクや限界についての話です。
投稿者 根津浩 17:19 | コメント(0)| トラックバック(0)
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